「お金の向こうに人がいる」|価値を提供し続けてくれる社会に感謝

今回は田中学さん著の「お金の向こうに人がいる」を紹介します。

著者について

田中 学

ゴールドマン・サックスで16年間、債券為替トレーダーとして勤めたのちに『お金のむこうに人がいる』を著す。現在は社会的的金融教育家として活動。

本書から学べること

お金は重要です。

その一方で、お金の重要性が意識されるあまり「仕事」をお金を稼ぐ手段としか考えていないひとが多いように思います。

仕事のやりがいや意義を大切にする風潮はなくなってきているように感じます。

しかし、お金を稼ぐとは?そもそもお金とは何だろう。

その原点に帰るために本書を手に取りました。

お金そのものに価値はない

「みんなが使っているから」「みんなが価値があると信じているから」というシンプルな理由で使っている人がほとんどだろう。

お金のむこうに人がいる 31ページ

お金自体に価値はない。

紙幣も硬貨も価値を交換する道具にすぎません。

私たちは「価値がある」と思い込んでいるにすぎません。

一万円札をよく見ると「日本銀行券」と書いてある。紙幣は「券」、つまり「チケット」の一種なのだ。旅行ギフト券、デパートの商品券、映画のチケット券。子供の頃、親にプレゼントした肩たたき券。すべてのチケットに共通するのは、「将来の約束」だ。

お金のむこうに人がいる 32ページ

お金と引き換えに手に入るもの、それは「人」の労働です。

お金は誰かに働いてもらうためのチケットなのです。

お金と人の労働は等価なのです。

お金を増やすとは誰かの幸せを増やすこと

あなたはお金をもらって働いている。何らかのものを作ったり、何らかの問題を解決している。その仕事から生み出される効用が誰かを幸せにしている。

お金のむこうに人がいる。あなたが幸せにしている人が、必ず存在している。

お金のむこうに人がいる 85ページ

仕事から生み出される効用を考える。

仕事をするとは誰かが求めているものを生み出すことに他ならない。

消費した誰かの効用を向上させていることになる。

誰しもが仕事を通して誰かを幸せにしている。

その職業がなくならないのも、世の中で必要とされているから。

もっと胸をはって仕事をしよう。

「税」がお金を循環させる

誰かに働いてもらうためにお金を対価として支払う必要があるのか。

労働に見合うお返しであれば何でもいいのでは?

しかし、物物交換であれ、労働交換であれ、求めているものは十人十色。

誰かのニーズを一律に満たせるわけではない。

そこでお金が必要になる。

お金を普及させるにはみんなに等しくお金が必要と思ってもらわないといけない。

そのために「税」システムが存在する。

一方で、貨幣を欲しがる人もいた。貨幣を税として収めないといけない人たちだ。たとえば、彼らの手元に米が余っていれば、貨幣を持て余している役人や労働者たちに交換を持ちかける。貨幣で米が帰るお店が生まれる。同じように、魚や塩、土器を売る店も次々に生まれる。最初は得体の知れなかった貨幣が、いろいろなものと交換できる便利なものになっていく。

お金のむこうに人がいる 40ページ 41ページ

このように、「税」があるおかげで皆が等しく貨幣を必要とする世の中でできあがる。

「税」は国民のために働くひとたちに支払われる。

そうすることで税を通してお金と労働が循環する。

まとめ

お金とは何か。

仕事とは、働くとはどういうことか。

その根幹が本書には詰まっている。

どんな仕事も誰かを助けている、誰かに必要とされている。

そう考えるだけで社会を今よりも明るく捉えられそうだ。

人がつながってみんなで支え合っているからこそ、経済が成り立っている。

物をつくってくれたり、サービスを提供してくれたりする、誰かがいるおかげで今日も楽しく過ごせている。

そう思わせてくれる本。


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