今回は中野 信子さん著の「科学がつきとめた「運のいいひと」」を紹介します。
著者について
中野 信子
1975年生まれ。東京大学工学部応用化学科卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年までフランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。脳科学、認知科学の最先端の研究業績を一般向けにわかりやすく紹介することで定評がある。著書に『サイコパス』『不倫』(いずれも文春新書)などがある。
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本書から学べること
運のいいひとはどんな行動をとっているのだろうか。
自分の中で最近気になるテーマです。
なんとなくで、「こんな人はみんなから好かれていて運がよさそうだな」
という漠然としたイメージは持っているものの、それがなぜかと聞かれると答えられません。
本書では運がいいひとの行動や考え方を科学的な根拠に基づいて説明してくれています。
運を味方につけたいひと、最近運が悪いと思うことが多いひとにおすすめです。
運のいい人は自分を大切に扱う
自分を大切にする人は他の人からも大切にされるのです。逆に、自分を粗末に扱っている人は、他人からも粗末に扱われるようになってしまうのです。
37ページ
たしかに、自己肯定感が強いひとって運がいいひとが多いと思います。
自分をしっかり認めていて、自分を大切にしている印象がありますよね。
本書では、これは心理学の「割れ窓理論」で説明できるといいます。
「割れ窓理論」とは、人にはある特定の秩序の乱れがあると、それに同調してしまうというものです。
たとえばゴミひとつ落ちていない綺麗な道にポイ捨てするのは気が引けますが、ゴミがたくさん落ちている道の脇なら「1個ぐらいなら捨ててもまあいいか」という気になる。(中略)実はこれと同じことが人に対しても起こるのです。
38ページ
自分が自分を大切にしていなければ、他の人からみて大切に扱う必要がないひととみなされ、粗末な扱いを受けてしまうということです。
運のいい人はあえてリスクのある道を選ぶ
あえてリスクのありそうな道を選ぶというのも、よい方法の一つだとわたしは考えています。なぜなら、リスクのある道を選んだ方が、脳が喜ぶ傾向にあるからです。
105ページ
リスクのある行動をとるというのは、脳の報酬系を意識した行動だったのですね。
たしかに、人生を振り返ってみると、リスクをとって行動している人のほうが、どこか楽しそうで、仕事も人間関係もうまくいっている人が多かった気がします。
脳が喜んで、幸福を感じることが多くなれば、自然と運のいいひとに近づいていけるはずです。
運のいい人はゲームをおりない
本書の中でも一番大切だなと思ったのが「ゲームをおりない」という点です。
努力はいつか身を結ぶ。
「ハリーポッター」の作者であるJ・Kローリング氏は長い歳月を費やして書き上げたこの作品を出版社にもっていきました。しかし、12社の出版社から立て続けに断られといいます。
それでもあきらめず、13社目でやっと出版が決定し、今では世界的大ベストセラーの作者となりました。
ゲームをおりないようにするには、「ゲームを常にランダムウォークモデルのように進む」と考えるのがコツです。
163ページ
ランダムウォークモデルとは運・不運というのはどちらか一方に大きく偏ることはないというものです。
ランダムウォークを仮定すると、人生という限られた期間における目の出方はある程度はどちらかに偏ってしまいます。しかし、圧倒的にマイナスだとか、圧倒的にプラスだという人も存在しないといってもいいくらい滅多にいるものではありません。
12ページ
その理論に立てば、ゲームをおりない、粘り強くあきらめないという行為がどれだけプラスに働くかわかったことでしょう。
挫折しそうな時こそ、今は出目が悪いだけ、どちらか一方に偏ることはないから、これからは幸運つづきだと自分を鼓舞して前に進みましょう。
それが運を引き寄せます。
まとめ
本書では本記事で紹介した以外にもたくさんの「運のいい人」を紹介しています。
どれもランダムウォークモデルの考え方が根底にあります。
運の良し悪しは本来は存在せず、その人の受け止め方次第で変わってくることがわかりました。
本書を読んで、運のいい人の考え方を取り入れたらより素敵な人生になるのは間違いなしでしょう。
ぜひ読んでみてください。
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