【書評】MONEY もう一度学ぶお金のしくみ|「お金」ってなんだろう

今回は「MONEY もう一度学ぶお金のしくみ」を紹介します。

仮想通貨・デジタル通貨など昨今さまざまな通貨が新たに出てきていますね。

「FaceBookのリブラ」 対 「中央銀行のデジタル通貨」のような通貨の覇権を争うような動きまで出てきています。

数世紀に渡り覇権を握ってきた「金」から「貨幣」の流れ以来の大変動が起きようとしているのかもしれません。

MONEY もう一度学ぶお金のしくみ

本書は2017年12月に発売されました。

著者はチャールズ・ウィーランさんです。

彼はダートマス大学で公共政策と経済学を教える傍ら、執筆活動もしています。

著書にはに全米ベストセラーとなったNaked Economics(『経済学をまる裸にする』)やNaked Statistics(『統計学をまる裸にする』)があります。

MONEY もう一度学ぶお金のしくみ から学べること。

社会人になってからというもの経済ニュースを見ることが多くなり、政策金利の話やインフレ・デフレの話を目にすることが多くなりました。

私が本書を手にとったきっかけは、そのような中で、今一度お金の仕組みをしっかり理解したいと思ったためです。

本書では「お金って何?」という取っ付きやすいテーマから入り、インフレ・デフレについて、通貨の未来までわかりやすく説明してくれています。

この記事では本書の中でも重要と思われる点を3つに絞ってご紹介します。

「お金」って何?

まずはそもそも「お金」とは何か?というところからです。

あまりにも生活に密着しているものなので、わざわざお金の存在意義を考える人はいないかもしれないですね。

本書では「お金」には3つの価値が内在していると書かれています。

1つ目は「会計単位」としての価値です。

「この家具はいくら」、「遊園地の入園料はいくら?」のように、国によって違いはあれど、物やサービスの価値を測る物差しを提供してくれています。

物やサービスを購入する際に、人によって用いる物差しが違ったりすると、単位が全く合わなくなってしまいますよね。

2つ目は「交換手段」としての価値です。

対価として何を支払うか、これは非常に重要です。

価値観は人それぞれです。

人によって対価となるものが違った場合はおそらくいつまで経っても取引は成立しないでしょう。

そして3つ目は「貯蔵手段」としての価値です。

人が生きていくうえで欠かせないものは何でしょうか??

いろいろあると思いますが、生存するうえで一番価値のあるものはきっと「食料」でしょう。

食料には本来的な価値が備わっているので、それを対価として取引するのもいいでしょう。

しかし、食料は一定期間を過ぎると腐ってしまいます。

貯蔵できないということは、必要なときに必要な分だけ対価として支払うということができないのです。

これでは、使うタイミングを逃すと腐ってしまい、あっという間に一文なしですね。

貨幣が存在する以前の人たちは長期間保存の効く「米」を貨幣の代わりにしていたと言われています。

3つの価値の説明は以上となります。

まずはお金の意義をしっかりと理解しましょう。

信用で「お金」が生み出される?

お金を生み出す時には貨幣を増刷する必要があると考えている人は多いのではないでしょうか。

中央銀行が担っている役目としては正しいのですが、

それでは限られた貨幣がこんなにも世の中に出回っているのが不思議になってきますね。

そこで登場してくるのが銀行です。

銀行は預金を大切に保管するだけでなく信用を創造という大事な役目をになっています。

預ける人がいる一方で、世の中にはお金が必要で困っている人たちもたくさんいます。

そのような人たちの中でも

信用に値すると判断した人たちに銀行はお金を貸し出すのです。

この機能を信用創造といいます。

そうなると「預けたお金が勝手に貸し出されているわけ?それは大変だ!いますぐ引き出しに行こう!」と考える人も出てくるのではないでしょうか。

たしかにそのように考えがちですが、預金者は銀行からお金を引き出す証明書を発行してもらっている状態です。

キャッシュカードでいつでも引き出せますよね。

それとは別にお金が生み出されているわけですから、0が1になったわけです

これは銀行の信用力と預金と貸付の償還タイミングを予測できる機能があってこそなせるわざです。

銀行が破綻して預けていたお金がなくなると心配する人はまずいないと思います。

銀行というのは私たちにとって特別に信用のおける存在です。

そして、貯金として預けたお金を毎日のように引き出しにくる人もまずいないと思います。

数ヶ月後、長ければ数年後、結婚や新居の購入などライフイベントに合わせて引き出すことでしょう。

そうなると、銀行は金庫番としてお金がでるタイミングをある程度予測できるわけです。

インフレとデフレについて

日本は経済バブルの後の景気停滞とデフレを経験しており、今でもデフレの中にあります。

その中で、「デフレはまずい何とかインフレにして、物価を上げなければいけない」と考えている人が多いと思います。

しかし、インフレは果たしていいことなのでしょうか。

本書では物価が持続的に上昇するインフレが進行した際どのようなことが起こるのか、ビールを例にして説明しています。

たしかにインフレはよろしくない。物価がぐんぐん上昇し、別の言い方をすると経済学者の考え方では、お金が価値をどんどん失う。1杯目と2杯目の間にビールの値段が500億ドル上がって、頭にこない人がいるだろうか。

MONEY もう一度学ぶお金のしくみ P27

これは困ったことですね。食事どころではありません。

それでは物価が持続的に下落するデフレがいいのか?

デフレについても同様に説明しています。

穏やかなデフレでも、不都合な経済的反応の連鎖を起こしてしまう。はいはい、肺を重ねるごとにビールの価格が下がるのは、なんとも結構なことだと思えるかもしれない。でもその時、自分の所得もおそらく下がっている。まだ悲劇とはいえない ー 所得が下がり、いつも買うものの価格も下がるというだけだ。でも借金の額は下がらないと想像してみよう。給料が着実に下がる一方なのに、銀行は毎月同じ額の返済を期待する。大恐慌へようこそ。

MONEY もう一度学ぶお金のしくみ P27

これらの例えからも言えるように、インフレもデフレも進行しすぎはどちらもよくないということです。

本書では若干のインフレが経済に良いとしながらも、インフレもデフレも行き過ぎはいけない、「ちゃんと」調整することが大切と書かれています。

MONEY もう一度学ぶお金のしくみ を読んだ感想

459ページありなかなかの読み応えでした。

読む前と読んだ後ではお金に対する考え方が、がらっと変わりました。

本書には本記事で紹介したテーマ以外にも「中央銀行の業務」や「お金の未来」など、お金に関するホットなテーマが盛りだくさんです。

興味を持たれた方は是非本書を読んでみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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