【書評】2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ|エクスポネンシャル・テクノロジー

今回は今世界で加速しているテクノロジーの進化について書かれた「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」を紹介します。

2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ

本書は2020年12月に出版され、13万部を突破し、『週刊東洋経済』ベストブック2021特集 「未来予測本」ランキング 第1位にも輝いております。

著者はXプライズ財団CEOでシンギュラリティ大学創設者であり、ベンチャーキャピタリストのピーター・ディアマンディスさんです。

2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ から学べること

テクノロジーの最先端を知り、何かビジネスに活かすチャンスはないかと思い、私はこの本を手に取りました。

「これからテクノロジーが世界に起こす変化を知りたい」、「今までのテクノロジーの進化の過程から網羅的に学びたい」という方におすすめです。

エクスポネンシャル・テクノロジー

「指数関数的に成長していくテクノロジー、従来の技術が直線的で予想のつきやすい成長を遂げるのに対して、予測できないような急速で大きな変化を遂げる技術のことを指す。」これを世の中ではエクスポネンシャルテクノロジーと呼んでおります。

具体的にどのようなテクノロジーあり、どのような可能性が秘められているのか、本書では惜しみなく書かれております

例えば、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)の分野では、教育現場で道徳教育のため子供にホームレス生活の悲惨さなどを実体験させるようなVRの活用、不動産会社でARを使った物件訪問などがあります。

VR・ARの分野だけでなく「3Dプリンティング」や「ブロックチェーン」まで網羅されております。

これらの分野が同時に進化していくことで、コンバージェンスおき、さらに強力にテクノロジーが進化していくのでしょう。

加速が「加速」する

テクノロジーの変化が加速するには3つの増幅要因が重なっているからだと本書では説明しております。

  • コンピューティング能力のエクスポネンシャルな成長
  • 加速するテクノロジー同士のコンバージェンス
  • 7つの推進力

その中でも注目すべきは「7つの推進力」であるとのことです。

それぞれのステップは前のステップの影響を受け、積み重なるほど協力になり、加速が加速していく。こうして祖父母の世代では何十年もかかったような変化が、たった1年のうちに起きている。

115ページ

7つの推進力の中には「時間の節約」から「寿命を延ばす」までの項目があります。本記事では「時間の節約」について触れたいと思います。

時間の節約とは端的にいうと、「何かを処理する時間を何十分の1、何万分の1にする」ことを表しております。

それが世の中に与えるインパクトがどのようなものであるのか本書ではマッキントッシュ誕生をめぐる過程でスティーブ・ジョブズが部下を叱責するエピソードで説明してます。

引用部分は部下に対するスティーブ・ジョブズの発言となります。

「いいかい、ずっと考えてたんだ。このマッキントッシュをいったい何人が使うと思う?100万人か?ちがう、そんなもんじゃない。数年後には500万人が使うようになる。君が起動時間を10秒削れたとしよう。それが500万ユーザー分だとすれば、1日あたり5000万秒だ。1年で数十人分の人生くらいの時間になる。だから君が起動時間を10秒短縮すれば、1ダース以上の人命を救えることになるんだぜ。それは本当に意味のあることだと思わないか?」

116ページ

数世紀前まで世界の変化が遅かった原因は、1日を生活するうえで、ほとんどの時間を必要なものを手にするのに時間を費やされていたからです。

今の時代MACブックの性能だけでなく、1日を生活する中での余暇の時間も増えているわけです。

加速が加速するのも納得がいきますね。

このような目線でテクノロジーの進化を見ていなかったのでとても新鮮でした。

「移動」が世界を変える

本書では移動こそイノベーションの原動力であると説明しております。

移動は単に人が動くというだけでなく、アイデアが動くことでもある。それは今も昔も変わらず、進歩の大きな推進力だ。移動はイノベーションを加速させる要因だ。

349ページ

日本においても昔の言葉で「3人集まれば文殊の知恵」というものがあります。

複数人で様々な知識、視点、意見を出し合えば良い案が生まれるという諺です。

道ができ鉄道が走り、車に乗れ、移動手段が容易になった現代では以前よりもアイデアの動きは大きくなっているでしょう。

現時点でも、何世紀前に比べて移動が促されていますが、本書では気候変動により住居を変えざるおえないような7億人の大移動が起こると書かれております。

さらにそこに加えて、バーチャル世界への移住、宇宙への移住というのも現実味を帯びてきており、移動の加速は今後より一層本格化してくるとのことです。

2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ を読んだ感想

テクノロジーの最先端を感じられる本でした。

著者であるピーター・ディアマンディスさんはテクノロジーの未来に畏怖の念を抱きながらも、高揚を感じながら明るい未来を描いているように感じました。

これからの未来を担っていく世代として、ビジネスもそうですが、どういう未来を描いていきたいのか考える必要があるのでしょう。


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