今回は辻村 深月さん著の「傲慢と善良」を紹介します。
※ネタバレありです。
著者について
辻村 深月
1980(昭和55)年、山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業。
2004(平成16)年に『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞してデビュー。
2011年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で直木賞、2018年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。ほかの作品に『ぼくのメジャースプーン』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『盲目的な恋と友情』『ハケンアニメ!』『琥珀の夏』『闇祓』などがある。
本書のあらすじ
婚約者が突然姿を消した。
そこからこの物語ははじまる。
なぜ姿を消したのか。
両親との挨拶もすませ、結婚式場も予約していた、すべてが順調だったはずなのに。
架は警察に電話をかける。
ストーカーのしわざに違いない。
彼女を探す真実の旅が今はじまる…
本書の感想
傲慢ゆえの善良、善良ゆえの傲慢
どちらも業が深いもの。
主人公の善良ゆえの傲慢がストーリーに深みを与えている。
本書で描かれている婚活というシチュエーションもまたよかった。
同年代の自分としては共感できる部分があった。
なによりも恋愛とは何かを考えさせられた。
「どこで出会ったの?」
彼女/彼氏ができるといつもそこから会話がスタートする。
「アプリで出会った」
本書を読むまではそんな回答にどこか恥ずかしさを感じていた。
皺だらけの小さな手が、真実の右手を掴む。掴んでしっかり両手で包む。
「あんだら、大恋愛なんだな」
467ページ
本当にそのとおりだ。
どんな出会いも大恋愛だ。
なぜ出会い方にこだわるのか。
世間体とはよくいったもの。
出会い方で相手がどのような人間かも決めつけてしまっている自分がいる。
しかし、本当に大切なのは周りがではなく、自分の意志である。
どうみられているか、それを気にすることこそ本当の傲慢ではないのか。
周りから見たらとか関係がない話はおしまいにしよう。
本書のハッピーエンドには自分も救われた感じがします。
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